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第14回 実は素晴らしい!?日本の就活 ~その⑪~

・前回学んだこと →就活生の価値観と日本的雇用システムの相性の悪い部分。

就活生の本音=「チャレンジしない組織が良い」「残業はしない」「成長よりNOストレスを優先」しかし「ポータブルスキルは獲得したい」という矛盾がわかりました。

・今回学ぶこと →このつづきです。

 

福島直樹です。上に書いたように、就活生の本音は、企業は当然として、日本的雇用システムとも矛盾する部分が多いようです。今回は前回の調査のつづきを見ていきましょう。

(働きたい組織の特徴・2018年卒調査(リクルート就職みらい研究所)有効回答7285人 2017年8月発表より)

 

貢献と報酬の関係について〜約8割の学生は年功賃金、年功序列を支持

 

質問項目 支持率%
選択肢A 入社直後の給与は低いが、長く働くことで後々高い給与をもらう 79.2
選択肢B 入社直後から高めの給与だが、長く勤めてもあまり給与が増えない 20.8

 

約8割の就活生は年功賃金、年功序列を本気で支持しているようです。以前紹介した調査(「第7回勤労生活に関する調査」労働政策研究・研修機構/2015)でも年功賃金の支持率(20代)は72.6%でした。今回の調査は就活生、つまり学生限定ですが、ほぼ同様の79.2%という数字になっています。

一方で、会社が倒産したり、売却されたり、転職したら、後々もらえるはずの高い給与はもらえなくなるリスクもあります。果たしてそこまで考えているのだろうか?私は少し心配になります。

就活生は終身雇用と年功序列を矛盾なく支持しており、彼らと日本的雇用システムの価値観は合致しています。

 

ワークスタイルについて(2)〜親と同居のまま働きたいが6割以上〜

 

質問項目 支持率%
選択肢A 特定の地域で働く 62.5
選択肢B 全国や世界など、幅広い地域で働く 37.5

 

長時間残業とともに、日本のメンバーシップ型雇用と若者、就活生の価値観がもっとも合致しないのがこの項目です。

「転居をともなう転勤はいやだ」という就活生は6割以上です。私が毎年たくさんの学生と会っていてわかることは、単に「特定の地域で働く」ことより、親と同居のまま働くことが彼らの本音なのです。

 

これを「最近の若者は幼稚だ」「親も子離れできていない」と批判することは簡単です。しかし失われたこの20年間で非正規雇用が増加し、正規のホワイトカラー正社員ですら平均年収が下がっています。つまり彼らは生まれてから一貫して明るい将来をイメージしにくい環境で生きてきたのです。そんな環境に若者が適応していると考えることもできます。彼らは何も悪くない。私はそう思います。

 

ただ残念ながら、メンバーシップ維持、つまり雇用を維持するために社員に部署を異動させたり、全国転勤させることは必要悪です。

社員一人ひとりの部署異動の希望を100%聞きながら終身雇用を維持するのは現実問題として不可能でしょう。

この点でも日本的雇用システムと就活生の価値観は矛盾しています。

 

前回と今回のまとめ

 

大枠として次のようなことがデータから確認できました。

・日本的雇用システムと就活生の価値観が合致するもの

終身雇用(長期安定雇用)

年功序列(年功賃金)

 

・日本的雇用システムと就活生の価値観が相反するもの

残業を嫌う(ワークライフバランス志向)

転勤を嫌う(親と同居大好き)

 

「終身雇用、年功序列に賛成」しながら「残業はいやだ」「転勤は嫌い」が就活生の本音です。これは現状の日本的雇用システム、メンバーシップ型雇用と矛盾しています。

しかし前にも書いたように、増加する共働き世帯にとっても長時間残業と全国転勤は問題が多いのです。安心して子育てができません。これでは少子高齢化は止まらず国内市場は縮小するまま。将来不安もつづくことでしょう。

ゆえになんとかしなくてはなりません。そこで転勤がともなわない限定正社員(いわゆるエリア総合職)という雇用形態を増やしていこうという意見も出てきています。

転勤がともなわない限定正社員という雇用形態に対して、多くの大学生は支持することでしょう。そういう意味で就活生は、日本の雇用の未来形を志向しているのかもしれません。

 

日本的雇用システムと若者、就活生の価値観について見てきました。これらをふまえ、就職活動、新卒採用の仕組みをどう修正していくべきか?について次回以降で見ていきたいと思います。