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出産、子育ては仕事にマイナス?そんな考えは過去のものになる

こんにちは、鈴木あきこです。

大学生のみなさんにはあまり馴染みがないかもしれませんが、今年も「保育園落ちた」の季節がやってきました。匿名のブログが話題になったのは一昨年のことでしたが、テレビやインターネットのニュースでも取り上げられ、流行語にもなり、聞いたことがあるという人も多いのではないかと思います。

 

未だに待機児童問題は解決しきれておらず、子供の預け先が見つからないために育休から復帰できない人がいて、その多くは母親です。このような状況を見ていると、女性が子供をもちつつ働き続けることは、とても難しいことのように思えてきます。

 

でも、これから先もずっと、この状況が続くのでしょうか?みなさんが結婚し、子供をもつ頃にも、同じような悩みに直面しなければならないのでしょうか?

 

今年や来年にすぱっと解決する問題ではないと思いつつ、実は私はあまり心配をしていません。近い将来、男性も女性も、子育ても仕事も諦めなくていいし、一時期を専業主婦・主夫として過ごした人の再就職も叶う社会になるのではないかと思っています。

 

子育てか仕事か、どちらかしか選べない社会は非効率

私が「子育ても仕事も諦めなくてよくなる」と考える理由は、「みんなが子育てか仕事かどちらかを諦めていたら社会が回らないし、効率が悪いから淘汰されるはず」と考えるからです。

 

みんなが子供をもつことを諦めたら、少子化が進みます。人口が減ると、国や地方自治体にとっては税金を収める人が減り、企業にとってはお客さんが減ります。どんなサービスや商品も、使ってくれる人、代金を支払ってくれる人がいるから成り立っているのに、採算がとれなくなったら潰れてしまいます。すると、少ないながらも残っていたお客さんも困る。子供を増やす方向に社会が動いているのはご存知のことと思います。

 

一方、例え子供が増えたとしても、みんなが仕事を諦めて育児に専念しなければならない場合、それも困った状況です。サービスや商品を提供できる人が減少し、労働力不足になってしまいます。単純に数だけで考えると、保育士さんならひとりで6人の子供のお世話ができるのに、親ひとりで子供ひとりのお世話をしなければならないのは非効率と言えます。もちろん、教育上の考え方や子供の個性など様々な事情があるので、家庭で育児をするのが悪い訳ではありませんが、それしか選べないというのは不自由ですよね。

 

「働き方改革」には、こういった問題を解決しようとする側面もあります。「フルタイム・残業対応可能・出勤が必須」の現状では、育児にウエイトを置きたい人は働きにくい。しかし、時短勤務やリモートワーク(自宅など職場以外の場所で仕事すること)が可能ならば、育児との両立ができる人もたくさんいます。

 

統計的に見ても、今や男性が組織に雇用されている世帯の63%近くが共働き世帯。自営業などの人も含めると、夫婦ともに働いている世帯はもっと多いでしょうし、「男性が外で働き、女性が家を守る」という世帯の方が少数派だと言えます。

経済産業省 男女共同参画白書 平成29年版をもとに筆者作成

※平成23年の値は岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の値

 

政治や行政だけでなく、民間企業でも様々なバリエーションの保育事業を行う企業が増えています。時間や場所をフレキシブルに活用できるシッターサービス、熱があって保育園に行けない子供のお世話をする病児保育など、これまでの保育園とは違う形で、子供のお世話を頼めるサービスがあります。家事代行サービスの事業者も利用者も、子育て世帯に限らず増えており、「家事=母親、女性がするもの」という方程式も過去のものになりつつあるのではないでしょうか。

 

このように、子育てと仕事の両立は、個人だけでなく社会全体の問題であり、様々な部分で問題を解決する方向に動いていると思うのです。

 

育児は仕事の役に立つ!スキルアップのチャンスになるかも?

専業主婦・主夫の期間は、仕事においてマイナスなものであり、再就職は難しい、という現状も変わってきています。

 

「育児は仕事の役に立つ」(浜屋祐子・中原淳著、光文社新書)という書籍の中で、育児と仕事のそれぞれで必要とされる能力の関連を調べた結果が紹介されています。

 

一般的に、仕事を進める上で必要とされる能力として、次の6つが挙げられます。

 ①業務能力向上(仕事のコツやノウハウをつかみ、自分で業務を進められるようになる)

②他部門理解促進(他部門の業務や立場を踏まえた上で自分の業務を進められる)

③部門間調整能力向上(違う部門の人と調整して業務を進められる)

④視野拡大(自分の仕事をより大きな立場、多様な観点から見つめられる)

⑤自己理解促進(自身の仕事を冷静に振り返り、理解を深める)

⑥タフネス向上(仕事上の葛藤やストレスに対処できるようになる)

 

このような能力が、育児、特に祖父母や保育園など両親以外の人を巻き込んだ「チーム育児」によって向上するというのです。

 

例えば、オムツ交換や子供の食事、入浴などは、多くの人にとって子供が生まれてから覚えることです。最初はとまどっていても、徐々に効率のよさも考え、テキパキ動けるようになっていくのは、業務能力向上のひとつです。

 

誰かに預ける場合、子供の健康状態や家、預け先での様子を、両親と預ける相手とで共有し、何をどれだけお願いするのかを決めます。これは部門間調整能力を問われる場面と言えるでしょう。

 

仕事での人間関係は価値観が似ている人同士の集まりで、入社年次や役職などで立場の違いも明確ですが、保護者同士の場合は子供の年齢が近いという共通点しかありません。仕事や年齢、バックグラウントも様々な人との関わりは、自己理解も促進します。

 

この他にも、仕事にプラスになる経験があります。子供には、大人なら当然の常識が通用せず、予想外のことばかりするし、予定通りに進まないのが当たり前です。このような、「先の読めないことに対処する能力」は、管理職に必要とされる能力のひとつです。また、両親がリーダーとなり、子供、祖父母、保育園など様々な人とチームを作って育児というプロジェクトを実行する、という経験は、リーダーシップを向上させる経験になり得ます。育児経験は、管理職、リーダーに必要な能力を育てることにもつながります。

 

こうしたメリットを知った上で、男性の育休取得や、就業時間や場所に制限がある人の採用を積極的に行う企業も増えています。専業主婦・主夫経験は、仕事においてマイナスなものだという思い込みは薄れ、一度仕事を離れたとしても、その間に何を経験し、何を身につけたのかが大切になってくるのではないでしょうか。

 

いくら仕事を頑張って実績を上げても、産休や育休によってキャリアがリセットされてしまう、とか、仕事を頑張りたければ子供はもてない、という心配は、今後ナンセンスなものになっていくでしょう。社会や企業の仕組みは、変わっていくものです。あまり悲観せずに、目の前のやりたいこと、将来の目標に向き合って、就職活動に取り組んで欲しいなと思います。